ルーツは1923年に発生した関東大震災にまで遡る。混乱と物資不足が続いた復興期、髪を洗う水すら貴重だった時代に、手入れが容易で清潔感を保ちやすいスタイルとして考案された。当時の活動的な男性たちの間で瞬く間に広がり、ひとつのカルチャーを形成していく。
単なる合理性の追求にとどまらなかった点が、このスタイルの興味深いところだ。大正末期から昭和初期にかけて花開いた昭和モダンの空気感をまとい、洋装にも和装にも馴染むモダンなヘアデザインとして定着した。機能美と伊達男の美学が融合した、日本発祥の稀有なメンズスタイルである。