電気代の節約に関する情報の中には、現代の実態にそぐわない誤解や、かえって生活の質を著しく落とす罠が散見されます。特に見直すべきは「契約アンペア数」と「待機電力」の扱いです。
ネット上の節約術では「一人暮らしなら契約アンペアを20Aに落として基本料金を削るべき」という言説が頻繁に語られます。東京電力エリアの場合、30Aから20Aに落とせば月額約300円の基本料金を削減できます。しかし、これには重大なリスクが伴います。電子レンジ(約13A)とドライヤー(約12A)を同時に使った瞬間、あるいはエアコン稼働中にケトルでお湯を沸かしただけでブレーカーが落ちます。在宅ワーク中にパソコンの電源が突然落ちるリスクや、頻繁にブレーカーを上げ直す心理的ストレスを考慮すれば、月300円のために20Aへ下げる選択は推奨できません。現代の単身生活では30Aが最もバランスの取れた標準値です。
また、「使わない家電の主電源をこまめに抜き、待機電力を削る」という手法も費用対効果が極めて限定的です。最新家電の待機電力は極小化されており、家中のコンセントを抜いて回っても削減できるのは月数十円程度に過ぎません。それよりも、冷蔵庫の背面を壁から5cm離して放熱効率を高めることや、エアコンのフィルターを月に2回清掃して熱交換効率を回復させることの方が、遥かに大きな電気代削減効果を生み出します。