神田松之丞(現・六代目神田伯山)は、1983年6月4日、東京都豊島区に生まれました。幼少期から独特の感性を持ち、高校時代に立川談志の落語CDを聴いたことをきっかけに演芸の深淵に魅了されます。その後、武蔵野大学文学部日本語・日本文学科へ進学し、在学中は落語や歌舞伎、映画、プロレスなどあらゆる芸能・大衆文化を貪欲に吸収していきました。
当初は落語家を目指していたものの、寄席で目撃した講談師・二代目神田山陽の張り扇の響きと、講談独特の勇壮な語り口、そして「滅びゆく伝統芸能を自分の手で蘇らせたい」という強烈な使命感から講談の世界へ身を投じることを決意します。大学卒業後の2007年11月、三代目神田山陽に入門を果たしました。
入門後の下積み時代を経て、2012年に二ツ目へ昇進すると頭角を現します。講談特有の古典演目(『慶安太平記』『赤穂義士伝』『天保水滸伝』など)の骨格を崩さず、現代の観客の胸を打つリアルな心理描写と圧倒的な緩急を吹き込む話術によって、瞬く間に「天才」「100年に1人の逸材」と称賛される存在へと上り詰めました。