名目為替レート換算のGDPランキングだけを追っていても、一般庶民の生活実態や国力の真の姿を見誤ってしまいます。そこで不可欠となるのが、物価水準の差を調整した購買力平価PPP基準ランキングと、個人の生産性を示す一人当たりGDP世界ランキングの2つの視点です。
為替レートの乱高下に左右されず、「国内で実際にどれだけのモノやサービスを購入できるか」を示す購買力平価(PPP)ベースで世界を眺めると、順位は劇的に変化します。PPP基準では、すでに中国がアメリカを抜いて世界第1位に位置しており、3位にはインドが堂々とランクインしています。この基準において日本は世界第4位前後に留まっており、内需の絶対的な規模そのものは依然として世界屈指の厚みを持っています。
しかし、真に直視すべき構造的危機は、一人当たりGDP世界ランキングの急速な低下です。名目ベースの一人当たり数値において、日本はかつて世界トップ5に入っていましたが、現在はOECD加盟38カ国中20位台後半から30位台前半へと後退しました。すでにシンガポールなどの金融国家のみならず、台湾や韓国の後塵を拝する局面が増加しています。国全体のパイとしては人口1億2000万人の規模でカバーできているものの、国民一人ひとりの稼ぐ力や分配される富の水準は、先進国内で確実に地盤沈下を起こしているのが厳然たる現実です。