結婚と前後して、榎本加奈子は芸能活動を休止し、事実上の引退状態へと入った。ハマの守護神として横浜ベイスターズで一世を風靡し、メジャーリーグのシアトル・マリナーズでも日本人最多セーブ記録を打ち立てた大投手の妻として、家庭を支える道を選んだためだ。第一線で活躍していた女優が、キャリアの絶頂期に潔く引退を決めた理由はどこにあったのか。
当時のスポーツジャーナリズムや取材記者の言葉を借りれば、彼女の決断は「夫の現役生活最終盤を支え抜くための完全なシフト」だったという。怪我に苦しんでいた佐々木を心身ともにケアし、家庭環境を静かに整えること。華やかなスポットライトを捨て、裏方に徹する覚悟がそこにはあった。