ネット上の言説において、長年まことしやかに囁かれてきた「ビジュアル系は2000年代で完全にオワコン化した」という言説。しかし、音楽産業統計や興行データをつぶさに分析すると、この認識が明らかな誤解であることが分かります。
確かに地上波のゴールデンタイム音楽番組にヴィジュアル系バンドが毎週のように出演する時代は過ぎ去りました。しかし、それはジャンルの衰退を意味するのではなく、「特定ファン層による強固なライブ経済圏の確立」と「グローバルニッチ市場への移行」を果たした結果です。日本レコード協会のストリーミングデータや海外フェスのブッキング状況を見ても、日本のV系バンド(DIR EN GREY、the GazettE等)はヨーロッパや南米において数万人規模の動員力を維持し続けています。
また、近年のサブスクリプション全面解禁に伴い、90年代の埋もれた名盤が海外のメタルヘッズやシューゲイザー愛好家の間で再発見され、Spotify等の月間リスナー数が劇的に跳ね上がる現象が多発しています。「テレビ露出の減少=カルチャーの衰退」と短絡的に結びつける言説は、現在のデジタル音楽流通のダイナミズムを見落とした盲点と言わざるを得ません。