紙鉄砲が鳴る仕組みは、航空機のソニックブームや鞭の先端が音を立てる原理と極めて近い。物理学の視点で見ると、実に鮮烈な流体力学が働いている。
紙鉄砲を勢いよく振り下ろすと、折りたたまれた内部の袋へ一気に空気が押し込まれる。その空気圧が限界に達した瞬間、畳まれていた紙のヒダが弾けるように外側へ飛び出す。この時、閉じ込められていた空気が瞬時に開放され、周囲の空気を強く圧縮して小規模な「衝撃波」を生み出すのだ。
つまり、あの爆音は紙同士がぶつかる音ではなく、空気が急激に膨張・破裂した音に他ならない。たった一枚の紙と腕の振りが、小さな人工衝撃波を作り出していると考えると、伝承玩具の完成度の高さに唸らされる。