桜井和寿の私生活における葛藤は、Mr.Childrenの音楽史における最高傑作群と密接に結びついています。特に1996年リリースのアルバム『深海』は、前妻との関係悪化や吉野美奈子との出会い、プレッシャーに押しつぶされそうな精神状態が生々しく刻まれたコンセプトアルバムです。
「名もなき詩」の歌詞にある「愛はきっと奪うでも与えるでもなくて 気がつけばそこにある物」というフレーズや、「Everything (It's you)」における激しい感情の吐露は、不倫騒動前後のリアルな心情が色濃く反映されたものとしてファンの間で語り継がれています。
さらに、活動休止を経て1999年に発表されたアルバム『DISCOVERY』では、騒動の渦中を抜けて新たな自己を見出そうとする力強いロックサウンドが展開されました。「光の射す方へ」や「終わりなき旅」に見られる泥臭い前進のメッセージは、自らの過ちや痛みを引き受けた人間だからこそ書けた名曲として、今もなお多くのリスナーの心を揺さぶり続けています。