こうした負のイメージを払拭する契機となったのが、日本財団が主導した渋谷区の刷新プロジェクト「THE TOKYO TOILET」です。世界的建築家やデザイナーが参画し、国内外で大きな反響を呼びました。
なかでも注目を集めた「透明ガラスのトイレ」には、瞬間調光液晶フィルム(スマートガラス)が採用されています。通常時は通電により分子が整列して透明に見え、利用者が中に入って施錠すると通電が遮断され、分子がランダムに散乱して瞬時に不透明(スリガラス状)へ変化する仕組みです。
この設計には2つの明確な目的がありました。
- 入室前に内部の清潔さを確認できる
- 個室内に不審者が潜んでいないかを外から目視確認できる
一方で、導入初期には「厳冬期にガラスの不透明化にタイムラグが生じる」「センサー不具合による透けトラブル」などの課題も露呈しました。2026年現在では、低温耐性を強化した次世代フィルムへの換装や、物理的な遮光ブラインドを組み合わせたフェイルセーフ設計が標準化され、技術的な成熟を見せています。