従来の「油で揚げる」工程は、高温の油によってじゃがいも内部の水分を一気に蒸発させ、外側に硬いデンプンの層(クラスト)を形成させる作業です。揚げない調理法で同じ状態を再現するには、「余分な水分の除去」と「表面のデンプン構造の強化」を別のアプローチで行う必要があります。
決定打となるのが、じゃがいもに含まれるデンプンの性質を利用した下処理です。カットしたじゃがいもを水にさらして余分な表面デンプンを洗い流した後、電子レンジで加熱して内部の水分を飛ばします。そこに片栗粉を薄く均一にまとわせ、油大さじ1を全体に絡めることで、加熱時に油が片栗粉の粒子を包み込み、油調時と同様の「メイラード反応」と「脱水硬化」が局所的に発生します。これが、油の海に投入しなくても驚くほどのクリスピー感を生み出すメカニズムです。