事件が牙をむいたのは、ビジネスパーソンや観光客が行き交う東京都港区赤坂の目抜き通りから一本入った路地裏だった。飲食店が暖簾を下ろし始める時間帯、突如として周囲の空気は凍りついた。「最初は酔っ払いの口論かと思ったんです。でも、次に聞こえたのは『助けて!』という甲高い叫び声でした」。近隣のレストランで働く従業員は、顔色を失いながら当時の惨状を語る。
通りに倒れ込んだ被害者と、暗がりへ走り去る男の影。現場には血痕が残り、現場検証が始まるまでの数時間は怒号と混乱が渦巻いていた。目撃した通行人が咄嗟に110番通報を行ったものの、容疑者はすでに入り組んだ路地へと姿を消していた。歓楽街の華やかさと都市の孤独が背中合わせに存在する赤坂という街で、惨劇は白日のもとに晒されたのだ。