どれほど慎重に走行していても、一度の過誤でその瞬間に検定が打ち切られるのが卒検の一発中止項目です。検定員から「はい、車を左に寄せて停車してください。運転を交代します」と告げられる瞬間の絶望感は、受検生にとって最大のトラウマとなります。
現場で最も多発する一発中止の代表例が一時不停止の危険行為です。指定場所での一時停止は、単にブレーキをかけて車速を落とす「徐行」では一切認められません。タイヤの回転が完全にゼロになり、車体が静止した状態で左右の安全確認を行わなければ停止とみなされません。「止まったつもりだったが、完全停止していなかった」という事例は、教習生が最も悔やむ典型的なミスです。
さらに近年、摘発や指導が極めて厳格化しているのが歩行者妨害による卒検不合格です。信号のない横断歩道付近に歩行者や自転車が立っている場合、道路交通法第38条に基づき、車両側は一時停止してその進行を妨げてはなりません。「まだ歩行者が渡り始めていないから行ける」「歩行者が手を振って譲ってくれたから発進した」という判断は、すべて歩行者妨害と判定され、検定員の補助ブレーキが作動して即座に検定中止となります。
また、検定員が危険回避のためにブレーキペダルを踏む、あるいはステアリングに手を添えた瞬間、それは法的に「受検者が安全な運行を継続できない状態」と判断されるため、理由を問わず試験終了となります。「前の車が急減速した」「死角からバイクが飛び出してきた」といった予測不能な事象に対しても、十分な車間距離と危険予測(かもしれない運転)を維持していなかった受検側の過失とみなされるのが卒業検定のシビアな現実です。