インターネット上の介護掲示板やSNSでは、透析導入後に直面した過酷な現実を吐露する家族の生々しい声が溢れています。
「月・水・金の週3回、片道40分の送迎だけでこちらの心身が限界を迎えた」「透析から帰宅すると半日以上ぐったりして寝たきりになり、会話すら成り立たない」――これらは決して特殊な事例ではありません。
80代の患者に頻発するのが、高齢者血液透析の合併症です。透析中は急激な体液変動により透析困難症(激しい血圧低下、嘔吐、筋痙攣)を引き起こしやすく、脳梗塞や心不全を誘発する引き金にもなります。さらに、血管が脆弱化しているためシャント(人工血管や血管吻合部)の閉塞や感染が頻発し、入退院を繰り返す悪循環に陥るケースが目立ちます。
見落とされがちなのが、透析による認知機能の急速な悪化と運動機能の低下(サルコペニア)です。透析室という閉鎖的な環境で長時間の拘束を受けるストレスからせん妄を発症し、針を自己抜去しないよう身体拘束を余儀なくされる事例も後を絶ちません。結果として人工透析QOLと家族の負担は極限に達し、「命を永らえるために始めた透析が、人間らしい尊厳ある生活を奪ってしまう」という悲痛なジレンマが現場で繰り返されています。
やがて迎える人工透析終末期の症状と経過では、血圧低下により設定どおりの透析が完遂できなくなり、食事摂取量の低下、意識混濁、無尿状態へと段階的に推移します。最後は透析時間の短縮や回数の削減を経て、穏やかな看取りへと移行していくのが一般的な臨床経路です。