検索画面で遊べるGoogleの三目並べで「不可能なレベル」に全く勝てないのは一体なぜなのか。その決定的な理由は、三目並べ(英語圏ではTic-Tac-Toe)がゲーム理論における「二人零和有限確定完全情報ゲーム」に分類されており、すでに数学的な完全解析(強解決)が終わっているゲームだからです。
チェスや将棋、囲碁と同じく、盤面の情報がすべて両者に公開されており、サイコロのような運の要素が一切介在しないのがこのゲームの特徴です。しかし、将棋の合法手が約$10^{220}$通りという天文学的な数値になるのに対し、3×3の9マスしかない三目並べの総手順数は、単純計算でも$9! = 362,880$通りしかありません。途中で勝敗が決まるケースを除外した実際のゲーム木(合法的な進行パターン)は全255,168通り、さらに盤面の回転や対称性を同一視すると、実質的な局面数はわずか765通りにまで圧縮されます。
Googleのエンジニアが「不可能なレベル(英語表記:Impossible)」に実装したアルゴリズムは、情報工学の古典にして王道である「ミニマックス法(Minimax Algorithm)」です。このプログラムは、自分が打てるすべての手と、それに対する人間側の応手をゲーム終了まで完全に先読みし、以下の基準で各マスにスコアを割り振っています。
- AIが勝利する終局:+10ポイント(手数が短いほど高評価)
- 人間が勝利する終局:-10ポイント(AIにとって絶対に回避すべき分岐)
- 引き分けになる終局:0ポイント
わずか数百通りの局面しか存在しない三目並べにおいて、2026年現在のスマートフォンやPCの演算処理能力をもってすれば、初手が打たれる前の0.001秒未満ですべての未来が計算し尽くされます。AIは「人間がどんな最善手を打っても、最低でも0ポイント(引き分け)以上に持ち込めるルート」しか絶対に選択しません。つまり、プログラムにバグが発生しない限り、人間が「不可能なレベル」に勝利する確率は数学的に0.0%なのです。