鈴本美愉の卒業後キャリアを語る上で避けて通れないのが、2020年7月に同期の志田愛佳とともに立ち上げたYouTubeチャンネル「ぶちゃらけ」を巡る騒動です。
お酒を片手に過去の恋愛事情やプライベートを赤裸々に語り合うこの動画は、公開直後からSNSやコミュニティ掲示板で猛烈な議論を巻き起こしました。「清純派アイドル」としてのファンタジーを抱いていた層からは失望の声が上がり、当時のネット上では激しい批判が殺到しました。結果として同チャンネルは短期間で動画が非公開となり、更新停止へと追い込まれました。
しかし、この事象の背景には、強固に管理された巨大アイドルシステムから解放された若者が経験する「アイデンティティの反動形成」が存在します。冠番組『欅って、書けない?』で「栗太郎」と呼ばれ、リアクションや愛らしさを求められる一方で、ステージでは重厚な反逆の偶像を演じ分けなければならなかった彼女たちにとって、あの配信は「虚像の完全な破壊と、生身の人間としての自己提示」を急激に試みた結果でした。
志田愛佳との深い絆は、過酷なグループ草創期を共に戦い抜いた戦友だからこその関係性であり、世間のバッシングを受け止めながらも、自らの足で生きていくための手痛い社会勉強となったと言えます。