ネット上の言説には、科学的根拠を欠いた極端なポジショントークが溢れています。失敗を未然に防ぐために、知っておくべき3つの鉄則を整理します。
1. 「非抜歯=正義」という思い込みを捨てる
「歯を抜かない優しい矯正」というキャッチコピーは患者にとって魅力的に聞こえます。しかし、顎のアーチに対して歯が大きすぎる場合、非抜歯で並べると歯列全体が前方に押し出され、かえって出っ歯や口ゴボが悪化する「フレアアウト」を引き起こします。横顔をすっきりさせたい目的があるならば、抜歯を恐れずに選択肢として正しく評価しなければなりません。
2. Eライン至上主義に囚われない
欧米人の骨格をベースに考案されたリケッツのEライン基準(上下口唇がEラインのやや内側にある状態)を、鼻が比較的低くオトガイが後退しやすい日本人(東洋人)にそのまま当てはめると、引っ込めすぎの罠に陥ります。日本人の美学においては、「上唇がEラインに接するか、わずかに1mm程度外側〜接する位置」が最も自然で若々しいバランスとされています。
3. オトガイ(顎先)の形態を客観視する
口元が突出して見える原因が「出っ歯」ではなく「下顎の先端(オトガイ)が極端に後退していること」にあるケースが多々あります。この場合、歯列矯正だけで解決しようとすると前歯を極限まで下げることになり、老け顔の原因になります。オトガイ形成(ヒアルロン酸注入、プロテーゼ、または骨切り術)を併用したほうが、歯を無理に後退させずに理想のEラインを獲得できる症例が少なくありません。