打球の飛距離と初速を決定づける最大の要因は、インパクトの瞬間にどれだけの運動エネルギーをロスなくボールへ伝えられるかという点に集約されます。インパクトの接触時間はわずか1000分の1秒前後にすぎません。物理学的にはボールがバットを離れた後の動作が直接球質を変えることはありませんが、なぜフォロースルーによって飛距離に劇的な差が生まれるのでしょうか。
その理由は、人体が無意識に行う「ブレーキ動作」にあります。人間はインパクト直後にスイングを急停止させようとすると、身体を保護するためにインパクトの手前から筋肉を収縮させ、無意識にスイング速度を落としてしまいます。力強いフォロースルーを前提とした身体の使い方をして初めて、インパクトゾーンでの最高ヘッドスピード到達が可能になります。
現代の大谷翔平選手のバッティングフォーム解説などでも頻繁に言及されるように、長打を量産する打者はインパクト以降もバットがボールを長く押し込むような軌道を形成します。骨盤の回旋から体幹、腕、リストへと伝わる運動連鎖(キネティックチェーン)が淀みなく機能した結果として、自然と深く大きなフォロースルーへと到達する構造が確立されています。