近藤サトの語り口には、唯一無二の品格がある。フジテレビジョンを退社してフリーに転身した当初、世間は彼女を「元局アナ」「元梨園の妻」というラベルで見た。だが彼女は、そのステレオタイプを声の実力だけで払拭してみせた。
特に定評があるのがドキュメンタリーナレーションだ。過剰な感情を排し、被写体の息遣いをそのまま届ける彼女のトーンは、多くの映像制作者から絶大な信頼を寄せられている。近年ではFODやTVerといった配信プラットフォームの普及により、過去の名作アーカイブから最新の特別番組まで、彼女のナレーションを耳にする機会はさらに広がっている。
メディアの主戦場が地上波からネットへと分散していく時代にあっても、言葉に宿る魂を磨き続けてきた彼女のスタンスは揺るがない。