SNSや動画プラットフォームでは、目を引くユニークな裏ワザが定期的にバズを生み出します。しかし、情報検証を行うと、実用性に乏しいものや料理の仕上がりを大きく損なう罠が潜んでいることが分かります。
その筆頭が「割り箸をくわえながら切る」という有名な説です。これには「口を開けて唾液を分泌させることで催涙物質が口内に集まり、目に行かなくなる」「鼻呼吸が制限されて刺激臭を感じにくくなる」といった説明が後付けされてきました。しかし、三叉神経の受容体は角膜表面に存在しており、口内の唾液量が増えたところで目に向かう揮発ガスの物理的吸着を遮断することは不可能です。編集部の実証テストでも、強い刺激を受けた被験者は割り箸をくわえた状態でも普通に涙を流す結果となりました。
また、「水につけながら切る」「包丁を水で濡らしながら切る」という手法も注意が必要です。確かに催涙成分であるシン-プロパンチアール-S-オキシドは水溶性であるため、水中に溶け込ませれば気化を防げます。しかし、玉ねぎに含まれるビタミンB1、B2、ビタミンC、カリウムといった水溶性栄養素や、玉ねぎ本来の甘み・旨味成分まで同時に水へ流出してしまいます。さらに、まな板や手が滑りやすくなり、包丁のコントロールを失って怪我をするリスクも跳ね上がります。栄養面と調理安全性の観点から、水漬けカットはおすすめできません。