ソーイングの現場で頻繁に交わされる「布選びで作品の命運の8割が決まる」という格言は紛れもない真実です。どれほど正確に直線を縫えても、縫製難易度の高い生地を選んでしまうと、ミシンの送り歯による布ズレやヨレが発生し、着用に耐えない仕上がりになってしまいます。
手作りワンピースおすすめ生地の筆頭は、ハーフリネン(綿麻混紡)、綿麻キャンバス(中薄手)、そしてタイプライターコットンです。これらの素材は適度なハリ感があり、ハサミを入れる際にも滑りにくく、アイロンの折り目が鋭角に定着するため、直線縫いのガイドが極めて容易になります。
一方で、初心者が避けるべき素材として以下の3点が挙げられます。
- 薄手のポリエステルシフォン・レーヨン:裁断台の上で滑りやすく、長方形に切ったつもりでも布目が大きく歪む。
- テンションの高いニット・ジャージー生地:直線ミシンをかけると縫い目が波打って伸びてしまい、特殊な伸縮縫い設定が必要になる。
- 大柄のチェック・ストライプ:柄合わせの工程が発生し、「直線で裁断して縫い合わせるだけ」のシンプル工程が破綻しやすい。
また、布を購入した直後の「水通し(みずとおし)」と「地直し(じなおし)」は省略してはなりません。綿や麻などの天然繊維は、最初の洗濯で3%〜8%程度縮む性質があります。一度水に浸して陰干しし、生乾きの状態で布目をまっすぐに整えながらスチームアイロンをあてる工程を経ることで、完成後の洗濯による型崩れや縮みを防ぐことができます。