シュテファン大聖堂の観光で多くの旅行者が直面する最大の選択肢が、「南塔(Steffl)」と「北塔(Adlerturm)」のどちらに登るかという問題です。両者は高さ、登頂方法、そして眺望の魅力が大きく異なります。
南塔は高さ136.4メートルを誇り、世界でも有数の高さを誇る教会建築の傑作です。展望台がある高さ約67メートルの見張り部屋までは、狭く曲がりくねった343段の螺旋階段を自力で登り切る必要があります。途中にエレベーターやエスカレーターはなく、すれ違いも困難な幅の石段が延々と続くため、相応の体力と覚悟が求められます。しかし、頂上から見渡すウィーン旧市街の360度パノラマビューはまさに息をのむ絶景です。
一方の北塔は、元々は南塔と対をなす双塔として計画されながら財政難やゴシック様式の流行終焉により建設が中断された未完の塔で、高さ68.3メートルにとどまります。しかし、こちらは高速エレベーターが完備されており、車椅子や足腰に不安のある方でも約30秒で展望テラスへ到達できます。北塔の展望台には、オーストリア最大の鐘であり激動の歴史を宿す重さ20トン超の巨鐘「プンメリン(Pummerin)」が鎮座しており、屋根のモザイク瓦の幾何学模様を間近から撮影できる絶好のフォトスポットとなっています。