太平洋上で渦巻く低気圧の挙動をめぐり、国内外の解析モデルが火花を散らしている。日本の防災の要である気象庁の予測モデルは、太平洋高気圧の縁をなぞるように北西進した後、偏西風の蛇行に捕まって本州南岸へ接近する放物線ルートを描く。一方、ハワイに拠点を置く米軍合同台風警報センター(JTWC)が弾き出したアンサンブル予報は、より鋭角に東日本沿岸へ切り込む危険な直撃コースを示唆している。
さらに世界最高峰の精度を誇るヨーロッパ中期天気予報センター(ECMWF)のシミュレーションを重ね合わせると、上層の寒冷渦との力学的な干渉によって、速度を落としながら列島を舐めるように縦断するシナリオも否定できない。各機関の計算結果にはまだ緯度・経度にして数百キロのブレがある。だが、いずれのデータも「勢力を維持したまま陸地に接近する」という極めて厄介な一致を見せている。