緊迫感が充満する生放送のスタジオを、温かく洗練されたサロンへと変貌させていたのが、番組の黄金期を牽引した芳村真理さんと井上順さんの絶妙な司会コンビでした。
オープニングの代名詞であった「歌謡メドレー」では、前の歌手が次に登場する歌手のヒット曲をワンフレーズ歌い、花束を手渡してリレーしていく過密な演出が名物でした。生バンドが切れ目なく転調を繰り返すこの難関コーナーでは、歌詞間違いや歌い出しのタイミングの狂いが頻発しましたが、井上順さんの軽妙なアドリブ(「どうもどうも!」「まいったね!」)と芳村真理さんの華麗なフォローによって、生放送の失敗が見事なエンターテインメントへと昇華されていました。
自著や後年の同窓会特番で芳村真理さんが回顧したところによると、スタジオには常に独特の「芳香と緊張感」が漂っていたといいます。高熱を押して点滴を打ちながらスタジオ入りした歌手の背中をそっとさすり、歌い終わると同時に涙を拭うハンカチを差し出す――。司会陣の人間味あふれる包容力があったからこそ、アーティストたちは過酷な生歌のプレッシャーに耐え、魂の宿る名演を残すことができたのです。