なぜななもり。の騒動はこれほどまでに長期化し、人々の感情を揺さぶり続けるのか。現代のカルチャー社会学および心理学の視点から紐解くと、現代型ネットアイドルとファンダムの間に生じる「擬似親密性と共依存構造」が浮かび上がってきます。
従来の芸能人と異なり、ネット配信者はリスナーとのコメントのやり取りや日々の長時間配信を通じて、「誰よりも身近な理解者」としての関係性を構築します。この関係性においては、ファン側の心理的バウンダリー(自他の境界線)が曖昧になりやすく、推しの私生活の過ちを「身内に裏切られた」と同等、あるいはそれ以上のトラウマとして体験することになります。絶対的なカリスマであったリーダーの失墜は、共同体のアイデンティティそのものを揺るがす深刻な心理的ダメージをもたらしたのです。
この教訓から、現代のエンタメ享受において私たちが学ぶべき判断基準が見えてきます。
【受容できる人・距離を置くべき人の判断基準】
- 受け入れて応援できる人:クリエイターが提供する「作品・エンタメ体験」と「本人の私生活・人間的欠陥」を切り離して評価できる人。また、不祥事後のビジネス再生力やプロデュース能力を客観的な実力として評価できるリアリスト。
- 距離を置くべき・慎重になるべき人:配信者に対して道徳的な清廉潔白さや「嘘偽りのない純粋な人格」を投影している人。推しの言動に自己肯定感を完全に依存させてしまう傾向がある人は、私生活の不一致に直面した際、深い心理的疲弊を招くリスクが高いため注意が必要です。