「朝起きた瞬間から世界中すべてに腹が立つ」「いつもなら笑って流せるパートナーの冗談に激昂しそうになる」――そうした理由のない苛立ちの正体を探っていくと、心ではなく神経伝達物質やバイオリズムの変調に行き着くケースが多々あります。
代表的なのがPMSと情緒不安定の原因です。排卵後から月経直前にかけては、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量がジェットコースターのように乱高下します。この急激な変化は、脳内で精神の安定を司るセロトニンの分泌を急激に抑制してしまいます。結果として、理性で感情をコントロールする前頭前野の機能が低下し、扁桃体が暴走状態に陥るのです。この時期に感じる「なんかムカつく」は、相手に非があるのではなく、脳がパニックを起こしているに過ぎません。
さらに性別を問わず深刻なのが、自律神経の乱れとイライラの相関です。スマートフォンによる夜間のブルーライト照射、慢性的な睡眠不足、カフェインの過剰摂取は交感神経を異常に優位化させます。交感神経が昂っている状態とは、原始時代でいえば「野生動物と戦うか逃げるか」の緊張状態にあるのと同じです。周囲のあらゆる刺激が「生存を脅かす敵」として脳に処理されるため、同僚の咳払いや電車のドアが開く遅さといった些細な事象に激しい怒りを覚えることになります。