伊坂作品の多くが映像化のオファーを引きつけ続ける理由は、圧倒的なキャラクターの魅力と、スクリーンに映えるビジュアル性の高いセリフにある。邦画史に残る名作となった『アヒルと鴨のコインロッカー』や『重力ピエロ』の実写化は、キャスト陣の瑞々しい演技とともに原作の持つ哀愁と熱量を余すことなく表現した。
また、仙台の街を舞台にしたオールロケ撮影で話題を呼んだ『ゴールデンスランバー』など、地域に根ざした世界観の構築も映像化における大きな武器となっている。スクリーン上で立ち現れる登場人物たちの生き様は、読者の頭の中にあったイメージを裏切ることなく、むしろ新たな生命を吹き込んできた。
文字だけで構成された小説でありながら、カメラアングルや音楽のカットインを連想させるテンポ感。これこそが、数多くの映画監督や脚本家を魅了してやまないクリエイティビティの原源と言えるだろう。