ネット上の情報には「栄養を逃さないために、ほうれん草は絶対に茹でずに生かレンジで食べるべき」という極端な主張が見受けられますが、これは健康リスクの観点から大きな誤解を含んでいます。
西洋種の一部にあるサラダ専用ほうれん草を除き、一般的な東洋種・交配種のほうれん草には100gあたり約800〜1,000mgという高濃度のシュウ酸が含まれています。シュウ酸はカルシウムと結合して不溶性の結晶をつくり、胃腸を刺激するだけでなく体内での結石形成リスクを高めます。
「栄養素の流出を防ぐこと」と「有害物質・アクの除去」はトレードオフの関係にあります。プロの料理人や管理栄養士が鍋茹でを基本とする理由は、わずか数十秒の加熱でシュウ酸を大幅に低減させ、安全かつ風味豊かに食べるための合理的な知恵だからです。下茹でによる栄養価の減少を過度に恐れる必要はありません。