多くの人々が混同しがちなのが、現在使われている新トンネルと、山中に眠る旧犬鳴トンネルの存在である。1975年に開通した新トンネルは、片側一車線の幅広な道路構造を持ち、最新の防災設備や照明機器が整えられたごく普通の交通インフラだ。大型トラックの離合もスムーズで、日中は豊かな自然の風景の中を爽快に走り抜けることができる。
対照的に、明治時代に開通した旧犬鳴トンネルは、幅員が狭く大型車両の通過が困難であったことから、新トンネルの完成に伴い廃道となった。現在は入口が巨大なコンクリートブロックで強固に封鎖されており、内部へ立ち入ることは物理的に不可能である。老朽化した暗い石造りの旧坑門と、近代的で安全性の高い新坑門。この構造上の圧倒的なギャップが、怪しげな噂を補強するビジュアル的な対比を生み出している。