扇風機の真骨頂は、体に触れた瞬間の心地よさにある。広角に拡散する柔らかい気流を近距離へ届けるため、羽根の形状は空気の抵抗を面で受けるよう設計されている。対して、サーキュレーターは直進性の高いスパイラル気流を放つ砲台だ。筒状のダクト構造と特殊な傾斜を持つファンが、周囲の空気を巻き込みながら細く力強いジェット気流を室の端まで直線的に撃ち出す。
実際に風速計を設置して測定すると、扇風機の風速は3メートル離れると急激に減衰するのに対し、高性能サーキュレーターの風束は8メートル先でも明確なベクトルを維持する。前者は人間の体感温度を下げるため、後者は室内の空気を動かすために存在する。この流体力学的な目的の違いを無視してサーキュレーターの直風を就寝中に浴び続ければ、過剰な水分蒸散による体調不良を招きかねない。