司波達也という人物の特異性は、戦闘能力だけにとどまりません。彼の経歴と素性には、国家レベルで隠蔽された幾重もの「裏の顔」が存在します。
出生における最大の真実は、日本魔法界を牛耳る十師族の筆頭格にして「触れてはならない(アンタッチャブル)」と恐れられる四葉家(よつばけ)の直系血族であるという点です。前当主の娘である司波深夜(旧姓:四葉深夜)の実子であり、現当主・四葉真夜の甥にあたります。
しかし、生まれながらに世界を滅亡させかねない「破壊」の力しか持たなかった達也は、幼少期に四葉一族から極度の警戒を受けました。その結果、実母・深夜と叔母・真夜の手によって精神構造を作り変える人為的手術(精神改造実験)を施され、激しい怒りや強い欲望といった情動をすべて剥奪されます。唯一残されたのは「妹・深雪への家族愛」という感情のみでした。
以降、達也は四葉家において正式な後継者候補から除外され、次期当主候補である妹・深雪を守護する専属護衛「ガーディアン」として冷遇と忠誠を課されることになります。
一方で、達也は技術者としても世界を牽引する天才的頭脳を発揮していました。魔法工学機器メーカー「フォア・ゼロ・ワン(FLT)」において、弱冠十代にして革新的なCAD(術式補助演算機)や魔法理論を次々と開発。世間では伝説の魔工技師「トーラス・シルバー」として神格化されていましたが、その正体こそが「ハードウェア担当の牛山」と「ソフトウェア・理論担当の司波達也」による共同ペンネームだったのです。