メキシコのお菓子を開封して最も衝撃を受けるのが、キャンディやフルーツグミの表面を覆う真っ赤な粉末です。これは激辛を狙った罰ゲーム用ではなく、メキシコの食文化に深く根ざした「タヒン(Tajín)」に代表されるチリパウダーです。
メキシコのお菓子が辛い理由には、古代アステカ・マヤ文明から続く「唐辛子を薬味や調味料として日常的に食す習慣」があります。さらに熱帯気候において食欲を刺激し、発汗を促す生活の知恵としても重宝されてきました。
特に重要なのが、メキシコ人が愛してやまない「アグロドルセ(甘酸っぱい)」という味覚バランスです。果物のタマリンドが持つ強烈な酸味に、砂糖の甘み、チリパウダーのピリッとした辛み、そしてライムの爽やかさを融合させることで、単なる甘味にとどまらない立体的な美味しさを生み出しています。マンゴーやりんごなどの生フルーツにタヒンを振りかけて食べる文化がそのまま駄菓子にも反映されているのです。