夜驚症(やきょうしょう)は、国際睡眠障害分類において睡眠時随伴症(パラソムニア)のなかの「ノンレム睡眠覚醒障害」に位置づけられる睡眠障害です。病気というよりも、脳の睡眠・覚醒の切り替え機能が未熟な成長期に特有の生理的現象として捉えられています。
最大の特徴は、入眠後1〜3時間ほどの深いノンレム睡眠(徐波睡眠)のタイミングで突発的に発生する点にあります。大脳皮質などの思考・意識を司る領域が深い眠りにとどまったまま、情動や自律神経系を司る脳の一部だけが急激に覚醒してしまうことで生じる「睡眠と覚醒の解離状態」です。
小児科領域の疫学データによると、夜驚症は主に2歳〜8歳頃の小児期に好発し、発症率は数パーセントから十数パーセントに達すると報告されています。本人はパニック状態で叫んだり逃げ惑ったりしますが、意識そのものは眠っているため、呼びかけに反応せず、翌朝には一連の出来事をまったく覚えていません。