なぜ「素人大全集」というフォーマットは、時代を超えてこれほどまでに熱狂的なファンを生み出し続けるのでしょうか。その根底には、フィクションの枠組みでは味わえない「予測不可能な人間ドラマ」と「覗き見心理(ヴォワイユリスム)」の絶妙な充足が存在します。
プロの演者が魅せる洗練された演技とは対照的に、街頭インタビューや一般公募から派生する素人系作品の魅力は、カメラの前で見せるぎこちなさや緊張、ふとした瞬間にこぼれる本音の生々しさにあります。社会心理学における「リアリティ認知のメカニズム」が示す通り、人間は完璧に作り込まれた演出よりも、わずかな綻びや偶然のアクシデントに強い信憑性と興奮を見出す傾向があります。
さらに、1本あたり4〜8時間を超える大容量収録でありながら、定額見放題(サブスクリプション)やセール販売の主力となっている点も見逃せません。「最初から最後までじっくり観る」だけでなく、「好みのチャプターだけを効率的に楽しむ」というタイムパフォーマンス志向の現代視聴スタイルに、大全集形式が極めて合致していたと言えます。