日本の国旗と構図が極めて近いもうひとつの国が、南アジアのバングラデシュです。深緑の背景に浮かぶ鮮烈な赤い円は、色彩の対比も含めて強烈な印象を残します。
血で勝ち取った独立と肥沃な大地
バングラデシュの国旗は、1971年の第三次印パ戦争および独立戦争の激動の中で誕生しました。デザインの原案は、当時の学生運動指導者や画家であるカムルル・ハッサン(Kamrul Hasan)氏らによって練り上げられ、1972年に正式採用されました。 * 深緑の地:バングラデシュの豊かな緑の大地、イスラムの伝統、そして若々しい国土の生命力 * 赤い円:パキスタンからの独立闘争で命を落とした300万人とも言われる犠牲者たちが流した尊い血、および暗闇から昇る新しい国家の太陽 当初のデザインでは赤い円の中に金色のバングラデシュの国土マップが描かれていましたが、旗の裏表で印刷が複雑になることやデザインの簡素化を理由に、現在の「緑地に赤い丸」のシンプルな姿へと改定されました。
親日感情とデザイン決定の背景
バングラデシュにおいて、日本に対する深い敬意が存在することは歴史的な事実です。初代大統領ムジブル・ラフマン(現首相シェイク・ハシナの父)や初代首相タジュディン・アフマドらは、第二次世界大戦の焦土から驚異的な経済復興を遂げたアジアの先駆者として、日本に強い憧れと親近感を抱いていました。 元外務省高官や当時の関係者の回想録によると、国旗を制定する会議の中で「日本の日の丸のシンプルさと力強さ」が議論の参考にされた可能性は指摘されています。しかし、それは「日本の属国のように真似をした」のではなく、「東洋の奇跡と称された日本のように、自国も誇り高く自立した国家として立ち上がる」という強い意思表示の一環でした。円が左側にオフセットされている理由も、パラオと同様に掲揚時の視覚的バランスを考慮したものです。