「塩素系ハイターを使うと服に飛び散って脱色した」「換気扇を回しても喉や目が痛くなる」――こうした長年のストレスから解放される手段として選ばれているのが、過炭酸ナトリウムを主成分とする酸素系漂白剤です。両者の決定的な違いは、漂白・殺菌を行う化学的アプローチと副生成物にあります。
キッチン用塩素系漂白剤の主成分である「次亜塩素酸ナトリウム」は、非常に強力な酸化力を持つ反面、強アルカリ性(pH12〜13以上)であり、有機物と接触した際に特有の塩素臭を放ちます。また、酸性洗剤と混ざると猛毒の塩素ガスを発生させる危険性があり、日常の調理スペースで扱うには常に緊張感が伴いました。
対して粉末の酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)は、炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と過酸化水素が2対3の割合で結合した化合物です。水に溶けると弱アルカリ性(pH10〜11)を示し、過酸化水素が酸素の微細な泡を放出しながら汚れの色素や油分を分解します。反応後に残るのは炭酸ソーダと水、そして無害な酸素のみです。生ゴミ受けのぬめりや食器の汚れを強力にリセットしながらも、残留成分への不安が極めて少なく、小さな子どもやペットのいる世帯から絶大な支持を集める理由はここにあります。
さらに、塩素系では使用できなかった「色柄物のふきん」や「ステンレス製ボトル」の内部に使える汎用性の高さが、台所の漂白習慣を一変させました。「白く脱色する薬品」から「汚れを浮かせて落とす発泡洗浄」へのシフトが、キッチンにおける酸素系漂白剤の支持基盤を固めています。