感染症による胃腸炎であれば発熱や激しい下痢を伴うケースが一般的ですが、熱がないにもかかわらず頻繁に吐く現象に直面すると、判断に迷う場面が増えます。この発熱なしで吐く原因と対処法を考える上で知っておくべきは、乳児特有の解剖学的特徴です。
大人の胃が「Jの字」に湾曲して胃の入り口(噴門部)がしっかり締まっているのに対し、赤ちゃんの胃は「徳利(とっくり)」のようにまっすぐで、容量も小さく、噴門部の筋肉が非常に緩い状態にあります。そのため、満腹時やおむつ替えで足を高く上げた際、腹圧がかかるだけで胃の内容物が逆流しやすい胃食道逆流症の可能性が月齢の低い時期ほど高くなります。
また、見落とされやすい要因として胃軸捻転症の兆候が挙げられます。これは胃を支える靭帯が未熟なために胃が一時的にねじれてしまい、ミルクの通過障害を起こしてゲップが出にくくなったり、数時間後に嘔吐を繰り返したりする状態です。胃軸捻転症の多くは成長に伴って自然軽快しますが、授乳後は頭を少し高く保ち、右半身を下にした側臥位(そくがい)で寝かせるポジショニングを取ることで、物理的な逆流を和らげる効果が期待できます。