ネット上の一部や非科学的な自然療法のアカウントで散見される最大の誤謬が、「生理の血の塊は子宮内に溜まった毒素がプルプル固まって出ている証拠(デトックス効果)」という言説です。断言しますが、これらは医学的根拠が完全に皆無のデマです。
生理は受精卵の着床に備えて厚くなった子宮内膜が不要になり剥がれ落ちる現象であって、有害物質を排出する排毒器官ではありません。プルプルの塊は、単に「線維素溶解酵素の処理キャパシティを超えた大量の血液が物理的に固まったもの」に過ぎません。これを「悪いものが出切ったから安心」と肯定的に捉えて放置することは、子宮筋腫や子宮内膜増殖症、さらには子宮体がんといった重篤な病巣の発見を決定的に遅らせる極めて危険な行為です。
また、「痛み止めを飲むと経血が固まりやすくなる」という噂も誤解です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は痛みの元となるプロスタグランジンの生成を抑える薬であり、経血を不自然に固めて塊を増やす作用はありません。むしろ激痛を我慢して身体を極度の緊張状態に置くことの方が全身の血流を滞らせます。ただし、鎮痛薬を規定量服用しても全く効かないほどの生理痛と巨大な血の塊がセットで現れている場合は、薬で抑え込めないレベルの器質的疾患が進行している証拠です。