晩秋から初冬にかけて、「育てているニオイバンマツリの葉が急に黄色くなり、パラパラと落ちて枝だけになってしまった」と慌てる初心者が非常に多く見られます。ここで冷静に見極めるべきは、それが生理的な半落葉現象なのか、それとも根の壊死や寒害による枯死兆候なのかという点です。
原産地では常緑樹であるニオイバンマツリですが、日本の冬のような低温環境に晒されると、体内の水分蒸散を抑えて身を守るために葉を落とす「半落葉性」の性質を示します。気温が5度前後まで下がると下葉から黄変して落葉しますが、これは休眠期に入るための自然な防御反応であり、過度に心配する必要はありません。
問題なのは、春を迎えても新芽が吹かず、そのまま枯死してしまうケースです。枯れているかどうかの生死判定は、枝の先端を爪や園芸バサミで数ミリ軽く削ってみることで確認できます。表皮の内側がみずみずしい緑色を保っていれば株は休眠しているだけで生きています。逆に、中まで完全に茶褐色に変色し、枝がポキポキと脆く折れる状態であれば、その枝は寒害や水切れによって枯死しています。
ニオイバンマツリ冬越しの注意点として徹底すべきは、寒風の遮断と冬場の過湿防止です。耐寒温度はおよそマイナス3度ですが、霜が直接降りたり北風が吹きさらしになる環境では体感温度が下がり、容易に凍害を受けます。地植えの場合は株元に腐葉土やワラを10cm以上の厚みで敷き詰めるマルチングを行い、不織布を樹冠全体に巻いて霜よけを施してください。鉢植えの場合は、初霜が降りる前の11月中旬までに日当たりの良い室内や風の当たらない軒下へ取り込みます。休眠期は根の吸水力が激減するため、冬場に夏と同じペースで水を与え続けると確実に根腐れを引き起こして春を待たずに枯れ果てます。
また、鉢植え栽培では根詰まりが葉落ちと枯死の間接的な引き金となります。ニオイバンマツリは極めて根の生育が旺盛な樹種です。2年以上植え替えていない株は鉢の中で根が回って呼吸困難に陥り、微細な根毛が死滅して葉を維持できなくなります。ニオイバンマツリ植え替えの適切な時期は、新芽が動き出す4月中旬から5月下旬です。一回り大きな鉢に新しい用土で植え直すか、同じ鉢を使う場合は根鉢を外側から3分の1程度ほぐして古い根を切り戻す作業を2〜3年周期で必ず実施してください。