検索エンジンで「春よ恋」と入力すると、関連語として「膨らまない」「失敗」といったワードが浮上します。実際、製パン初心者が輸入小麦から春よ恋に切り替えた際、パンの背が低くなったり、どっしり重い仕上がりになったりするケースは後を絶ちません。しかし、これは小麦粉の品質が原因ではなく、吸水率とグルテン構造の物理的なギャップによるものです。
一般的なカナダ産・アメリカ産小麦(カメリヤやイーグルなど)は、タンパク質(グルテン)の質が強く、粉重量に対して68〜72%前後の水分をしっかりと保持できます。これに対し、春よ恋の適正吸水率はおおむね65〜68%です。つまり、外国産粉を前提に作られたレシピの水分量をそのまま投入すると、春よ恋にとっては「過吸水」となり、グルテンの骨格が生地を支えきれずにダレてしまいます。
過吸水になった生地は、ミキシングしてもコシが出ず、焼成時に炭酸ガスを抱え込むことができません。その結果、窯伸び(オーブンスプリング)が起きず、「膨らまない食パン」になってしまうわけです。春よ恋を扱う際の鉄則は、「従来のレシピより仕込み水を2〜3%減らし、捏ね上がりの生地の状態を見ながら微調整する」ことに尽きます。