マウントレディ、本名・竹山美秀(たけやま ゆう)。彼女のキャラクターアーク(心理的変遷)は、作品全体が投げかける「ヒーローとは何か」という問いに対する最も美しい解答の一つです。
物語初期の彼女は、デビュー戦でシンリンカムイの活躍を横取りし、グラビア撮影やメディア露出に積極的な、いわば「承認欲求先行型」のヒーローとして描かれていました。社会心理学における「自己愛的な名声追求」が動機の中心にあったことは否めません。しかし、平和の象徴オールマイトの引退と神野の悪夢を経て、彼女の精神構造は決定的な変革を遂げます。
ギガントマキア戦で見せたのは、カメラのレンズも世間の賞賛も存在しない山中で、ただ後輩や市民を守るためだけに自身の肉体を盾にする無私(オルトルイズム)の境地でした。華やかな容姿が損なわれる恐怖を完全に超越したその姿は、記号的な美少女ヒーローから、血と泥に塗れた「不屈の防壁」へと昇華した瞬間だったと言えます。