ユーザーにとって最も恐ろしい事故が、髪質改善の失敗とチリチリになる真相です。髪を綺麗にするために数万円を投資したにもかかわらず、手触りがホウキのように硬化し、毛先がビビり毛(チリチリに縮れた状態)になってしまうケースが現場では後を絶ちません。
このトラブルの主犯となるのが、酸熱トリートメントのデメリットである「過収斂(かしゅうれん)」という化学現象です。健康な毛髪のpHは弱酸性(pH4.5〜5.5)ですが、酸熱トリートメントで使用される薬剤はpH1〜2前後の極めて強い酸性領域に設定されています。適切な濃度と放置時間を守ればキューティクルを引き締めてハリを与えますが、ブリーチ歴のあるハイダメージ毛や細毛に強酸性の薬剤を過剰に作用させると、髪の水分が一気に抜けてタンパク質が急激に収縮します。
そこに美容師の技術不足による「180度以上の過剰なアイロンプレス」が加わることで、髪は完全に熱変性を起こして硬直します。現場のスタイリストは取材に対し、次のように証言しています。
「酸熱トリートメントはトリートメントという名前がついていますが、実質的には縮毛矯正以上にシビアな毛髪診断と熱コントロールが要求される精密化学実験です。アシスタント任せのアイロンワークや、ダメージ履歴を無視した薬剤選定が、髪をチリチリに焼き切る最大の原因になっています」