外務省の公式資料や駐日英国大使館の基本情報が示す通り、この国の英語表記は「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」です。国際機関や公的統計では一般に「United Kingdom」あるいはその頭文字をとった「UK」が公的な略称として用いられます。
この極めて長い国名は、主権国家の形態をそのまま言語化したものです。名称を分解すると、その設計思想が浮き彫りになります。
- United Kingdom(連合王国):複数の君主国や領土がひとつの王冠(君主)のもとに統合された国家形態。
- Great Britain(グレートブリテン):最大の島である「グレートブリテン島」を指す地理的・歴史的名称。この島の中にイングランド、スコットランド、ウェールズが同居する。
- Northern Ireland(北アイルランド):海を隔てたアイルランド島の北東部6県を指す地域。
歴史を遡ると、この国名は領土の変遷とともに改称を繰り返してきました。1707年の合同法によってイングランド王国とスコットランド王国が合併し「グレートブリテン王国」が誕生。1801年にはアイルランド全土を併合して「グレートブリテン及びアイルランド連合王国」となりました。
しかし、激しい独立戦争を経て1922年にアイルランド南部が「アイルランド自由国」として独立。残留を選択した北部6県のみが連合王国に留まることとなり、1927年に現在の「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」へと改称されました。つまり、この国名の長さは「アイルランド島全土ではなく、北アイルランドのみが所属している」という境界線を明確にするための、血で贖われた政治的妥協の産物なのです。