世界的な知名度を獲得したチョコチップ迷彩ですが、湾岸戦争の終結とほぼ同時に、米軍は早急な装備更新へと舵を切りました。華々しいデビューの裏側で、過酷な実戦環境において致命的とも言える欠陥が次々と露呈したためです。
最大の誤算は「開発テストを行った環境と実際の戦場環境のズレ」でした。米軍が開発時にテストフィールドとしたのは、岩場や小石、低木が点在するカリフォルニア州のモハーヴェ砂漠でした。しかし、実際の主戦場となったペルシャ湾岸の砂漠地帯は、どこまでも起伏の少ない滑らかな砂丘が広がる平坦な地形だったのです。
平坦な砂漠において、小石を模したはずの黒い斑点はコントラストが強すぎ、遠距離から見ると「砂の上に黒い影が浮き出る」という本末転倒な視覚効果を生み出してしまいました。さらに、熱を吸収しやすい黒色のプリント比率が高かったことや、急速に普及し始めた初期の夜間暗視装置(ナイトビジョン)で覗いた際に迷彩効果が著しく低下することも判明。前線の兵士たちからの強い要望を受け、米軍は1990年代半ばにはチョコチップ迷彩の調達を打ち切り、短命のまま前線から姿を消すことになりました。