女性の額の両端が後退して見える現象には、大きく分けて「先天的・構造的要因」と「後天的な脱毛症・生活環境要因」の2つが存在します。多くの女性が「自分がどのタイプに当てはまるのか」を正しく判別できていないため、不適切なケアで悩みを長期化させてしまうケースが後を絶ちません。
まず見極めるべきは、「生まれつきの富士額(ふじびたい)」と「進行性の脱毛」の違いです。富士額は額の中央部分がハート型のように突出し、両サイドの生え際が自然なカーブを描いている先天的な毛流です。これに対して脱毛症によるM字後退は、「以前は生えていた左右のこめかみ上部の毛が徐々に細く短くなり、地肌の露出面積が広がってきた」という後天的な変化を伴います。
後天的な要因として臨床現場でも特に指摘されるのが、以下の3つのパターンです。
1つ目は、「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」です。日常的に髪をきつく結ぶポニーテールやお団子ヘア、長時間のヘアエクステンション使用によって、毛根へ持続的な物理的負荷がかかり血流が途絶え、生え際や分け目の毛が抜け落ちていきます。特に日常的に髪をまとめる職業や習慣を持つ女性に頻発します。
2つ目は、「FAGA(女性男性型脱毛症)やびまん性脱毛症」です。加齢や過度なダイエット、ストレスなどによって女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が低下すると、相対的に体内の男性ホルモンの影響が優位になります。その結果、ヘアサイクルが乱れて髪が太く長く育つ前に抜け落ち、生え際や頭頂部全体の毛髪密度が急激に低下します。
3つ目は、「頭皮の血行不良と乾燥・皮脂詰まり」です。長時間のスマートフォンやPC作業による眼精疲労、首・肩のこりは、前頭筋を強く緊張させます。頭皮へ通じる微小血管が収縮することで、生え際の毛母細胞へ十分な酸素と栄養が届かなくなり、細毛化を促進させてしまうのです。