実写映画『君の膵臓をたべたい』は、公開直後からSNS上で口コミが爆発的に広がり、最終興行収入は35.2億円を叩き出しました。青春恋愛・病気モノとしては異例のロングランヒットとなり、同年の邦画実写興行成績でも上位にランクインする快挙を成し遂げています。
作品を彩る要素として欠かせないのが、全国各地で行われたロケ地での情景描写です。二人が図書委員として過ごした旧豊郷小学校(滋賀県)の静謐な校舎、小栗旬演じる教師が桜良の筆跡を思い出す福井県立図書館、そして二人が旅の目的地とした福岡県の太宰府天満宮やヒルトン福岡シーホークなど、情緒ある街並みが桜良の限られた命の輝きを鮮やかに縁取りました。現在でも熱心なファンによる「聖地巡礼」が絶えません。
さらに、Mr.Childrenが書き下ろした主題歌『himawari』は、物語の輪郭を決定づけるマスターピースとなりました。桜良のひまわりのような眩しさと、突然突きつけられた別れの喪失感、そしてそれでも歩き続ける者の祈りを歌い上げたこの楽曲は、映画のエンドクレジットで観客を圧倒的なカタルシスへと突き動かしました。映画の演出、俳優の熱量、珠玉の音楽が見事な三位一体を成していたのです。