彼の最期をめぐっては、当時メディアを巻き込んだ大きな「失踪騒動」が巻き起こっていた。2012年春頃から親しい関係者や事務所との連絡が途絶え、「連絡が取れない」「どこへ消えたのか」と連日のようにワイドショーなどで取り沙汰されたのだ。世間が騒然とする中、実の兄や関係者による必死の捜索が行われていたが、その裏で彼は病院のベッドの上で命を削る闘病生活を送っていた。
公表された尾崎紀世彦の病名は肝臓がん。さらには腎不全も併発しており、身体は限界に達していた。なぜ彼は周囲に連絡を絶ち、一人で病と向き合ったのか。関係者によると、彼は自らの衰弱した姿をファンや知人に見せることを極端に嫌がったという。誰にも頼らず、歌王としての美学を最期まで貫き通すための「沈黙」だったのだ。都内の病院に入院していた彼は、2012年5月31日、静かにその激動の生涯に幕を閉じた。享年69。