競馬場で鳴り響くファンファーレがこれほどまでに人々の心を揺さぶる理由は、作品そのものが持つ音楽的完成度の高さにある。日本の競馬ファンファーレの歴史は、クラシックやポピュラー音楽界を代表する巨匠たちのペンによって紡がれてきた。
関東のG1ファンファーレを手掛けたのは、ドラゴンクエストの音楽でも世界的に知られる巨匠・すぎやまこういち氏だ。金管楽器の華々しいファンファーレから始まり、力強く流れるようなメロディは、日本ダービーや有馬記念といった歴史的レースの緊張感を極限まで引き立てる。
一方で、関西重賞や初夏のグランプリ宝塚記念のファンファーレを担当した宮川彬良氏の旋律は、また異なる情熱とドラマ性を帯びている。華やかさと哀愁が同居する関西版のサウンドは、阪神・京都競馬場に集うファンの心を掴んで離さない。地域やレースの格ごとに異なる最高峰の音楽作品が、競馬というスポーツに唯一無二の気品を与えているのだ。