リニューアルの恩恵は、目に見える車内空間だけにとどまりません。車両の心臓部にあたる走行機器類には、鉄道業界の最前線を行く省エネ技術が注ぎ込まれました。従来のIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御装置から、最新型のフルSiC(炭化ケイ素)素子を採用したVVVFインバータへと換装された点です。
この小田急3000形のSiC-VVVF更新により、電力消費量は従来比で約20〜30%削減され、回生ブレーキの作動領域も拡大しました。さらに、主電動機には密閉構造の全閉式誘導電動機が導入されたことで、駅発着時や高速走行時の床下ノイズが格段に抑えられています。長年親しまれてきた3000形特有の「重厚な起動音」は姿を消し、滑らかで澄んだ加速音へと変化したことは、音響面での快適性を重視する乗客からも極めて高く評価されています。
車体外観においては、従来の鮮やかなロイヤルブルー帯から、近年の小田急ブランドを象徴する深みのあるインペリアルブルー帯への変更が推進されています。帯色の変更と足回りの一新によって、外見の印象は引き締まり、同世代の通勤車でありながらフラッグシップの5000形やリニューアル済み1000形と肩を並べる存在感を放っています。