購入した年や前年は美しく咲き誇っていた株が、翌年まったく咲かなくなるケースでは、植物体内で起こるミクロな変化を見落としていることがほとんどです。
鍵を握っているのが、アジサイの花芽分化時期です。関東以南の温暖地において、普通種のアジサイが翌年の花のもと(花芽)を枝の内部に作り出すのは7月下旬から9月上旬にかけての限られた期間です。秋の訪れとともに日長が短くなり、気温が下がると休眠期へ向かいますが、この時点で翌年初夏に開花する枝の先端にはすでに花芽が完成しています。
つまり、花が終わった後に放置し、秋涼しくなった9月後半や10月に入ってから「伸びすぎた枝をすっきりさせよう」と切ってしまう行為は、翌年の開花を自らの手で摘み取っているのと同義です。これが「アジサイが去年咲いたのに咲かない」トラブルの約8割を占める根本原因です。
では、紫陽花の剪定でどこを切るのが正解なのでしょうか。鉄則は、開花した枝の「花首から2節〜3節下(葉が対になって出ている場所のすぐ上)」でカットすることです。節の付け根をよく観察すると、小さな米粒のような新芽が左右についています。この芽を傷つけずに残すことで、来年そこから健全な花枝が伸びていきます。