メディアで大河ドラマの視聴率が報じられる際、「歴代ワースト更新」「大河ドラマ視聴率低迷の理由」といった煽情的な見出しが並びがちですが、ここには重大なメディアリテラシー上の盲点が存在します。
最大の見落としは、「リアルタイム世帯視聴率」と「コンテンツ全体の総接触者数」の乖離です。ビデオリサーチが提供する世帯視聴率は、あくまで「テレビ受像機でリアルタイムに放送を点けていた世帯の割合」を示すに過ぎません。現在、大河ドラマの視聴スタイルは以下の通り多様化しています。
・NHKプラスによる見逃し配信:スマートフォンやタブレットでの同時配信・見逃し再生数は年々急増しており、『どうする家康』や『光る君へ』ではNHKプラスの歴代最高視聴記録を相次いで更新しています。
・タイムシフト(録画)視聴率:高画質レコーダーの普及により、日曜8時にリアルタイムで観るのではなく、休日にまとめて視聴する層が確立されています。
・BS先行放送(プレミアム・4K):日曜午後6時からのBS先行放送で視聴を済ませるコアファンが一定割合存在し、本放送の数字を分散させています。
したがって、単純な世帯視聴率の数字の低下のみをもって「大河ドラマ離れ」と断定するのは、現代のメディア接触実態を無視した一面的な見方に過ぎません。